ハーブと暮らしnote
HMCフィトテラピー通信 〜デトックス・からだの大掃除〜
Date:2025.3.28
Category:ハーブレッスン
Writer:佐藤
HMCフィトテラピー通信では、こころとからだにまつわるテーマを毎月設け、ハーブや精油を用いた日々のケアや過ごし方についてお伝えしていきます。
暮らしの中にフィトテラピーを取り入れて、植物のある暮らしをより多くの方に愛しんでいただけるようご提案していきます。
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3月のテーマは「デトックス・からだの大掃除」について。
デトックスという言葉、雑誌やネットまたは店頭などでよく見聞きしますが、身体にとって悪い物を体内から排出する事なのかな?とは理解しているけどそれ以上はぼんやりしたイメージという方も多いのではないでしょうか。
デトックスするという身体へのアプローチ方法には医学的には根拠がないとも言われています。時代によってデトックス方法にも流行があり、情報に振り回されないことも大切ですし、商業的にたくさんのデトックス法が謳われています。正しい情報を選択してご自身の体調にあったプロセスで無理のないよう行いたいですね。
では、そもそも私たちがデトックスをしたい!すっきりしたい!と常々口にするのはなぜでしょう。身の回りに溢れる美味しい食べ物。食べ物だけでなく、たくさんの情報も頭の中で噴出するほどです。これらを必要以上に抱え込み溜め込んでしまうと、出したい!と思うのは人間の常なのでしょう。
「溜めすぎないこと、過剰に摂取しないこと」
デトックスの本来の辿り着くべき目的はここにあるように思います。
私たちの身体に備わっている解毒排出するという身体の器官に負担を掛けないこと、そして本来の機能をしっかり働かせる、という視点でみていきましょう。
デトックス(解毒)というと肝臓の仕事の印象がありますが、体内では老廃物を解毒して排出する臓器が連携し日々働いています。ここでは肝臓に焦点を当ててみましょう。
人体にとって重要な臓器である肝臓の解毒作用とは何でしょうか。栄養分を代謝しながら体温の維持をし、胆汁を作って胆管へ送るなど肝臓の働きは500以上もあると言われていますが、その中でも解毒の働きは体内に入った多くの有害物質、例えばアルコールや薬、有害物質などを分解して無毒化します。アンモニアが送られてくると尿素に作り替えて無毒化し腎臓に送るといった具合です。
身の回りの毒素が多いほど肝臓の解毒作用が追い付かずに健やかな身体を遠ざけます。保存料や着色料などの食品添加物の多い食事、酸化した脂質、農薬や残留化学物質やアルコールはもちろんのこと、排気ガスなどの大気汚染物質なども肝臓の働きで解毒されます。
全てを避けることは現代では不可能ですし、ある程度は解毒排出されるので神経質になることはないでしょう。しかし日常生活で肝臓の負担を軽減することで慢性的な疲れや肌荒れ、肥満といった不調の改善を見込めると考えます。
参考文献:『動く図鑑MOVE人体のふしぎ(新装版)』講談社
<肝臓の働きを助けるハーブティー>
■ダンディライオン
西洋タンポポの根です。
肝臓の強化や胆汁の分泌促進などに使われます。
利尿作用にも優れていて余分な水分を排出し浮腫みの改善にも役立ちます。
■Pure & Power
ダンディライオンも入ったペパーミントベースのブレンドティー。
肝臓だけでなく、からだの中をトータルにデトックスケアしたい方におすすめ。
肝臓の解毒機能は体質や年齢、生活習慣によって低下します。この機能が低下すると、肥満や慢性的な疲労、肌のトラブルや頭痛などの不調に繋がります。特に生活習慣を見直し日々の意識を少し変えることで肝臓への負担を軽減し、肝臓が本来持つ機能をリカバリーすることになります。
添加物や脂質の多い加工食品や揚げ物の食事をできるだけ少なくすること、肝臓に中性脂肪が蓄積し機能が低下しないために習慣的に運動をすることも大切です。
アルコールは肝臓で分解される際に最も負担をかけるとされているので飲酒習慣を見直して休肝日を作り、就寝前に飲酒しないようにしましょう。
また、ストレスによって交感神経が優位な状態が続くと肝臓への血流が低下し肝機能が正常に働きにくくなります。自分なりのストレス解消法を知っておくことも肝臓への負担軽減に繋がるのです。
<ストレスケアにおすすめハーブティー>
■【国産】ホーリーバジル
肉体的・精神的ストレスへの抵抗力を高めてくれる「アダプトゲンハーブ」。
排毒作用もあるとされ、デトックスにもおすすめ!
■Good night
これでもか!というくらい鎮静作用のあるハーブをブレンド。
強いストレスは不眠につながり、さらにはそれが自律神経を乱す悪循環に。
そうなる前にハーブの力を借りてとにかくぐっすり眠りましょう。
各季節の養生では、主に春がデトックスの季節とされています。人間も自然の一部。冬は冬眠し動かなくて良いように体内に栄養や脂肪を溜め込んで過ごしています。その溜め込んでいらなくなった老廃物を春はしっかり発散していきたい季節。新陳代謝が活発になるのです。
春が来るのをじっと待っていた植物が、陽の気に誘われ芽吹きすくすくと枝を伸ばし始めるように、静から動へ移り変わる時。重い物を持っていては動けません。身体の要らないものを捨てて、身軽に上へ上へと伸びて発散しようとする働き、これが今でいうデトックスなのでしょう。
その働きを抑え込まないことが春の養生に繋がるのです。春になると春季療法としてデトックスに関する広告をよく見かけるのも納得です。
発散しようとする働きに伴い、五臓の中では春は「肝」の働きが活発になり、そして負担も掛かりやすくなります。その働きを阻害しないことが大切です。「肝」の働きの一つに、身体を動かすエネルギーである気を巡らせることがあります。気がスムーズに流れることで精神が安定し、内臓の働きもスムーズに行われます。
また、春に属する感情は「怒」。いつも以上にイライラしてしまう、ちょっとしたことで怒りを感じるという感情が出やすい季節。怒りの感情は気の巡りを妨害します。イライラしたら季節のせいにしてしまいましょう。
気を巡らせるにはリラックスが一番。ストレッチをする、また好きな香りを知っておくことも養生の一つです。いい香りと思った瞬間に気は動いています。精油もそうですが、香りの強いセロリ、春菊、クレソンなど清熱作用のある食材で興奮状態の熱を冷ましながら気を巡らせるのもおすすめです。
<おすすめの精油>
■ベルガモットFCF<精油>
オレンジの甘い香りをすっきりさせたようなその香りは、
ストレスを取り除き気持ちをリラックスさせてくれるといわれています。
もう一つ、肝の働きである「蔵血」作用。これは肝には血を貯めておき活動時に必要な器官へ必要なだけの血送り届ける働きのこと。
午前1時から3時は肝の解毒と修復が最も盛んな時間で、肝に血が集められ老廃物を浄化し綺麗な血を生成するピークの時間帯。この時間にしっかり眠り休んでおくことで綺麗な血が貯蔵され、また一日浄化された血が全身を巡っていくのです。これもまた今でいう血液のデトックスに繋がっていますね。しっかりこの時間帯に眠っておくことが養生になるのです。
<おすすめのハーブティー>
■clear Nettle
浄血・造血作用があるといわれるネトルがたっぷり入ったブレンド。
アレルギーケアにもおすすめ。
※2月のブレンドティーですが、3月中もご購入いただけます。
また「肝」と目には深い繋がりがあります。「肝は目に開竅す」といわれるように、肝の状態は目に現れることを意味します。蔵血された血が不足するとドライアイや眼精疲労が起こり、目の使い過ぎはせっかく蔵血された血の余分な使用に繋がります。
目の酷使を避けるためには「デジタルデトックス」が必要です。特に上記の肝の働きがピークになる時間帯には深い眠りについておきたいので、夜のスマートフォンの見過ぎには注意です。できる限り就寝2時間前にはスマートフォンの使用を控えることをおすすめします。
<おすすめのハーブティー>
■しょぼしょぼ・うるうるGood-bye〜Eye care〜
目の血流をよくしてくれるハーブがたくさん入っています。
疲れを感じたときは早めにケアを。
デトックスに関係の深い臓腑「肝」についての詳細は、HMCのオンライン講座「陰陽五行フィトテラピー講座」で学ぶことができます。
では、フィトテラピーではデトックスをどのようにサポートできるでしょうか。
「食べ物」と「精油」と「ハーブティー」の観点からおすすめします。
<食べ物>
「肝」の働きを高めるためには苦味のある食べ物を取り入れましょう。苦味は老廃物を排出します。特に冬に身体に溜め込んだものを排出したい春には、苦味のある山菜などを食べることがポイントです。春に旬を迎える菜の花や蕗の薹、蕨などを積極的に摂りましょう。
緑茶も苦味に分類されるので、食べ過ぎた時の食後のお茶として良いですね。
<精油>
デトックスのためのおすすめの精油は、グレープフルーツです。
爽やかな香りでリフレッシュ効果のあるグレープフルーツの香り。グレープフルーツ特有の成分であるヌートカトンは脂肪を溶かすと期待され話題になりました。リンパ系に働きかけ老廃物を分解します。ジュニパーやサイプレスなどの老廃物を流す精油とブレンドするとより効果的です。
■グレープフルーツ<精油>
<ハーブティー>
ハーブティーの飲用を習慣づけることもアレルギーケアの一助となります。
■ダンディライオン
西洋タンポポの根です。肝臓の強化や胆汁の分泌促進などに使われます。利尿作用にも優れていて余分な水分を排出し浮腫みの改善にも役立ちます。水溶性食物繊維である根に含まれる成分イヌリンは腸内環境を整え、穏やかな緩下作用があります。
*キク科アレルギーのある方は摂取を控えてください。
■ジュニパーベリー
独特の良い香りがするジュニパーベリーは、世界中で飲まれている薬用酒のジンに用いられています。
その強い利尿作用によって浮腫みの症状や毒素の排出に役立ちます。
*妊娠中の方や腎臓に疾患のある方は摂取を控えてください。
デトックスに役立つブレンドもご紹介!
■Beauty & Cleanse
ハイビスカスとステビアの甘酸っぱさがクセになる美味しいブレンド。ハイビスカスにはカリウムが含まれているため利尿作用があり、浮腫みによる疲労感やだるさを改善します。眼精疲労にも役立つのでデジタルデトックスのお供にも良いですね。
■ぷよぷよ・たぷたぷGood-bye〜Metabolic care〜
ジュニパーベリーやダンディライオンが入っており、排出器官の働きに役立つブレンドです。動きが悪くなった体内をシナモンで温めながら動かしていきます。食べ過ぎた後や運動不足を感じた時にオススメです。
肝臓は沈黙の臓器と言われているのはなぜでしょう。
身体の中でも上位に入る大きさの肝臓はパワーを蓄えることが出来るうえ、痛みを感じる神経がないため病気にかかっていても気づきにくく、自覚症状が出る頃にはかなり病状が進行しているためです。
休みなく黙々と500以上ある働きをこなしているのです。
アルコールも肝臓で解毒されますが、アルコールは非常に毒性が高いとされるため優先的にアルコール分解が行われ負担をかけています。また運動不足や食生活の乱れが脂肪肝を引き起こします。
様々なデトックス方法を試す前に、日々の生活を見直すことが健やかに過ごすことに結びつくでしょう。デトックスも毎日コツコツがポイントです。
