ハーブと暮らしnote
金木犀の蒸留実験
Date:2023.11.2
Category:ハーブレッスン
Writer:八木
先日、金木犀オイルのメディア掲載のお知らせをいたしましたが、その続きのお話です。
⇒メディア掲載のお知らせはこちら
撮影に合わせて、金木犀のお花を収穫できないかと探していたところ、蒸留講座の原材料提供でお世話になっているシトラスファーム高橋さんが「うちにありますよ」とご連絡くださいました!
金木犀オイルの記事でお分かりの通り、残念ながら今年は花が咲くのが遅く、撮影には間に合わなかったのですが、せっかくお声がけいただいたので、開花に合わせて金木犀のお花をいただきに行きました。
メンバーはHMCスタッフと、講座でお世話になっている美和先生とBiwaco先生。
ちょっとした大人の遠足気分です。
少なくとも樹齢40年以上はあるという大きな金木犀。
「好きなだけどうぞー」とバシバシ枝を切ってくださいました!
青空のもと、金木犀に包まれながら贅沢な金木犀がりを楽しませていただきました。
お楽しみはこれで終わりではありません。
金木犀調達の真の目的、それは『金木犀の蒸留水を作る』!
金木犀の香りは、摘んだ時からどんどんなくなってしまうとのことで、金木犀を大袋に入れ抱えて桜台店へ電車で移動(保谷→桜台)。
そしてテーブルいっぱいに金木犀を広げて、せっせと花だけを摘み取ります。
「ずっとやってられるねー」とみんなでおしゃべりをしながら、手もせっせと動かす。
そしてようやく1回の蒸留量に。
1枚目の写真のボウルに顔をうずめて香りを嗅ぐと、幸せすぎるほどの濃厚な甘い香りでした!贅沢!
期待をふくらませ、いざ蒸留!
火をつけて、しばしまっているとあることに気づきました。
それは、「香り、してる?」
ラベンダーの蒸留の時は、蒸留をはじめて少し経ったら、お店いっぱいいい香りになり、
そのタイミングで来られたお客様は、外からもその香りがわかったとおっしゃるほど。
しかし、先程ボールで良い香りをあんなに放っていた金木犀の香りが、ほとんどしてこない。
期待が心配に変わり始めたその時、蒸留水が出始めました。
精油は浮いている。しかし香りは「?」。
甘く爽やかな香りはするのですが、金木犀の香りかといわれると「?」なのです。
蒸留量もいつもよりは少なめで終了。
どうでしょう、写真でも少し精油が浮いているのが分かりますでしょうか?
ちなみに最初に抽出されたものより、少し経ってからとれた蒸留水の方がいい香りでした。
期待はしていたものの、納得の結果でした。
というのも金木犀の精油は水蒸気蒸留法では抽出しにくく、ローズやジャスミンと同じアブソリュート(溶剤抽出法)が一般的。
あんなに香りがするのに不思議ですね。
でもこういうことなんだというのが実際にやってみてよくわかりました。
ただ、実験はこれだけでは終わりません。
お店で蒸留講座を始めて2年。
ハーブの中には蒸留から時間が経った方がより香りが良くなるものもあるのです。
金木犀はどうか、使いたい気持ちを抑えてしばらく保管してみます。
ちなみに余った金木犀は各々持ち帰り、
・浸出油
・チンキ
・シロップ
・桂花陳酒
・桂花茶
など、引き続き家でも活用法を実験中!
ハーブへの探究心は尽きることがありません。
やはり金木犀の香りはどんどん飛んでいくのは間違いなさそうで、翌日使用した金木犀は香りが変わってしまっていました。もし香りをなるべく残したいときは、摘んですぐ仕込むのがベスト!
あんなに待ちわびた金木犀の香りも、あっという間に終わってしまいました。
それもまた季節の移ろい。
今回お世話になったシトラスファーム高橋さんのところはそろそろ柚子の季節になるとのことで、去年に続き今年も冬至に合わせて柚子の蒸留を予定しています。
こちらも決まり次第またご案内させていただきますね。
⇒ワークショップ情報はこちら
長文、お読みいただきありがとうございました。